【2026年】介護業界の人手不足とAI活用の最新動向まとめ

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はじめに

「人手不足」という言葉を、介護業界にいると耳にしない日はないかもしれません。でも実際のところ、どれくらい深刻で、この先どうなっていくのか、正確な数字で把握している方は、意外と少ないのではないでしょうか。

この記事では、2026年時点で確認できる、介護業界の人手不足の実態と、その解決策として期待されているAI活用の最新動向を、公的なデータをもとに整理します。漠然とした不安を、具体的な理解に変えるきっかけにしていただけたらうれしいです。


数字で見る、介護人材不足の実態

まず、公的なデータで、人手不足の規模を確認しておきましょう。厚生労働省が公表した、第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数の推計によると、都道府県が推計した介護職員の必要数を集計した結果、2022年度の約215万人(実績)に対し、2026年度には約240万人(約25万人増、年間およそ6.3万人ペース)、2040年度には約272万人(約57万人増、年間およそ3.2万人ペース)が必要になるとされています。

また、介護関係職種の有効求人倍率は、全国平均でおよそ4倍前後の水準で推移しているとする報告が複数見られ、全職種平均を大きく上回る、慢性的な人手不足の状態が続いていることがうかがえます。地域によっては、この数字がさらに高くなる場合もあると紹介されています。

こうした状況を受け、国は、介護職員の処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着促進・生産性向上、介護職の魅力向上、外国人材の受入環境整備といった、複数の柱を組み合わせた総合的な対策に取り組んでいるとされています。人手不足は、一つの施策だけで解決できる問題ではなく、待遇改善とテクノロジー活用の両輪で立ち向かうべき課題だと位置づけられているのです。


AI・テクノロジー活用の最新動向

こうした人手不足を背景に、AIやICTを活用した業務効率化の動きが、着実に広がっています。前回までの記事でもご紹介したとおり、2024年度の介護報酬改定では「生産性向上推進体制加算」が新設され、介護ロボットやICTの導入と、継続的な業務改善への取り組みが、報酬面でも評価される仕組みが整えられました。

さらに2026年(令和8年)の臨時改定でも、介護職員等処遇改善加算の見直しにおいて、「生産性向上や協働化の取組」を満たす事業所向けの上乗せ区分が新たに設けられています。制度としても、AI・ICT活用を後押しする流れが、年を追うごとに強まっていることがわかります。

現場レベルでは、要介護認定に関連する業務のデジタル化や、AI-OCRによる入力業務の自動化、AI音声認識を使った面談記録の自動化など、自治体や福祉現場向けのサービスが、次々と登場しています。要介護認定の審査については、介護保険法で30日以内と定められているにもかかわらず、令和5年度の全国平均は40.8日に及び、期間内に対応できている自治体は全体の25.1%にとどまるという調査結果も報告されており、こうした課題を解決する手段としても、AI・ICTへの期待が高まっています。

具体的に何が導入され、何が変わったのか

「AI活用」と言っても漠然としているので、実際に確認できた事例を、何を使ってどう変わったのかという形でご紹介します。

埼玉県川口市:AI-OCRによる入力業務の自動化

行政専用のネットワーク(LGWAN)に対応したAI-OCR(手書きや印刷文字を読み取るAI技術)を導入し、16の課にまたがる入力業務を自動化したと報告されています。これまで職員が手入力していた申請書類の情報を、AIが代わりに読み取ってデータ化することで、入力作業そのものの時間を削減する取り組みです。

福島県福島市:AI-OCR+RPAによる介護保険業務の改善


マイナンバーに対応したAI-OCRと、定型作業を自動で行うRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を組み合わせることで、介護保険に関する業務を改善したと報告されています。書類の読み取りから、システムへの転記までを自動化でできる範囲を広げる取り組みです。
要介護認定調査業務での音声認識AI活用
ある企業が提供する、介護認定調査業務の効率化を目的とした生成AIサービスでは、訪問調査の際の会話を音声認識で記録し、調査票の作成を支援する仕組みが提供されています。これまで調査員が手作業でまとめていた調査結果の整理を、AIが代わりに行うことで、一件あたりの作業時間短縮が期待されています。

特別養護老人ホームでのAI見守りシステム活用


見守りロボット「A.I.Viewlife」を導入した施設では、広角IRセンサーとAIを組み合わせ、転倒などの危険動作や、起き上がりなどの危険予兆動作を検出する仕組みを運用しています。導入施設からは、ヒヤリハットや介護事故件数がゼロになったり、訪室回数が減少したり、夜勤職員のストレスが軽減されたりといった効果が報告されています。

特別養護老人ホームでのAIシフト作成活用

定員70人のある特別養護老人ホームでは、コニカミノルタのシフト自動作成ソフト「ミラモス」を導入し、人員配置基準や勤務間インターバルといった複雑な条件を踏まえたシフト案を、AIが自動で提案する仕組みを取り入れています。導入から数ヶ月で、シフト作成にかかる時間がおよそ半分にまで短縮されたと、専門メディアで報告されています。
これらの事例に共通しているのは、AIが「判断」をすべて代行しているのではなく、「読み取り」「記録」「候補案の作成」といった、時間のかかる作業を肩代わりしている、という点です。最終的な確認や判断は、引き続き人が担っているということを、あらためて押さえておいてください。


これからの介護現場に求められる視点

数字とAI活用の動向を踏まえたうえで、これからの介護現場にはどんな視点が求められるのでしょうか。

まず大切なのは、AIやICTを「人手不足を完全に解決する魔法の道具」として過信しないことです。ここまで見てきた通り、国の対策も処遇改善や人材確保など、複数の柱を組み合わせたものになっており、AI活用はあくまでその一部です。記録や事務作業の負担を減らすことはできても、実際にケアを提供する「人の手」そのものを、完全に代替できるわけではありません。

一方で、限られた人数で質の高いケアを続けていくためには、事務作業の負担をできるだけ減らし、その分の時間を利用者さんとの関わりに回していくという発想が、これまで以上に重要になってきます。制度としても、生産性向上への取り組みが報酬面で評価される流れが強まっている今こそ、現場でAI・ICTを取り入れる動きに、追い風が吹いているといえるでしょう。

現場で働く一人ひとりが、こうした制度の動きと数字の背景を正しく理解し、「自分の職場では何から取り組めそうか」を考えていくこと。それが、これからの介護業界を、少しでも良い方向に進めていく力になるはずです。

欠員が出ても、なかなか新しい人が補充されないという状況を、何度も経験してきました。担当していた業務や利用者さんの数が増えていく一方で、対応するのは、今いる限られた職員だけ。一人ひとりの負担が積み重なり、疲弊した職員がまた辞めてしまい、さらに欠員が増えるという、まさに負のスパイラルに陥っていくのを、目の当たりにしたことがあります。誰か一人が頑張れば解決する問題ではなく、構造そのものが疲弊を生み出しているのだと感じながらも、目の前の業務に追われて、根本的な解決策を考える余裕すら持てない。そんなもどかしさを抱えていました。この負のスパイラルを断ち切るには、人を増やす努力と同時に、一人あたりの業務負担そのものを減らす工夫も欠かせないのだと、身をもって実感した経験です。


よくある質問(Q&A)

Q1.介護業界の人手不足は、AI活用だけで解決できますか?
いいえ、AI活用だけで解決できる問題ではありません。国の対策も、処遇改善や人材確保、離職防止など、複数の柱を組み合わせたものとなっており、AI・ICT活用はその一部として位置づけられています。

Q2.2026年度に介護職員は何人必要とされていますか?
厚生労働省の推計では、2026年度には約240万人(2022年度比で約25万人増)の介護職員が必要とされています。

Q3.要介護認定の審査期間が長いことと、AI活用にはどんな関係がありますか?
要介護認定の審査期間は、法定の30日以内を超えて全国平均40.8日(令和5年度)となっており、この課題を解決する手段として、AI・ICTを活用した業務効率化への期待が高まっています。


まとめ

今回は、2026年時点で確認できる、介護業界の人手不足とAI活用の最新動向についてお伝えしてきました。

  • 厚生労働省の推計では、2026年度に約240万人、2040年度に約272万人の介護職員が必要とされていること
  • 2024年度・2026年度の介護報酬改定で、AI・ICT活用が報酬面でも評価される流れが強まっていること
  • 要介護認定の審査期間の課題など、現場レベルでもAI・ICT活用への期待が高まっていること
  • AIは人手不足を完全に解決する手段ではなく、処遇改善など他の対策と組み合わせて捉える視点が大切なこと

数字を正しく知ることは、漠然とした不安を、具体的な行動に変える第一歩です。現場を知る私たちだからこそ見える視点を大切にしながら、これからの介護業界を一緒に考えていきましょう。


参考文献・引用元

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