
「介護の仕事でAIを使ってみたいけれど、何から始めればいいの?」
「介護記録を書く時間を減らしたい」
「ChatGPTは知っているけれど、介護職に向いているAIツールはあるの?」
このように感じている方も多いのではないでしょうか。
介護の仕事は、利用者さんと直接関わる時間だけが仕事ではありません。介護記録、申し送り、計画書、会議の準備など、さまざまな事務作業があります。
そのため最近は、介護×AIという分野が注目されています。
実際に厚生労働省も、介護現場の生産性向上に向けて介護テクノロジーの導入や効果の確認を進めています。2026年度も、介護事業者や技術を開発する企業を対象に、現場での効果を調べる取り組みが行われています。
さらに2026年には、Googleが介護記録を支援する「ケア記録アシスト」を公開するなど、AIが介護の具体的な仕事に入ってきています。
そこでこの記事では、数あるAI・介護向けサービスの中から、介護職が知っておきたいAIツールを5つに絞って紹介します。
「結局どれを選べばいいの?」という疑問にも答えられるよう、それぞれの特徴や向いている人をわかりやすく解説します。
ただし、介護現場では個人情報を扱うため、AIなら何でも入力してよいわけではありません。
この記事では、便利な部分だけでなく、安全に使うための注意点までしっかりお伝えします。
介護職向けAIツールおすすめ5選
今回紹介するのは、次の5つです。
| AI・サービス | 主な用途 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ChatGPT | 文章・勉強・アイデア出し | 幅広く使いたい人 |
| Gemini「ケア記録アシスト」 | 介護記録 | 記録を効率化したい人 |
| CareViewer | 記録・音声入力など | 介護事業所 |
| ワイズマン「AIケアプラン」 | ケアプラン | ケアマネジャー |
| Kaigos | 訪問介護の記録 | 訪問介護事業所 |
ここから、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.ChatGPT|介護職の文章作成・勉強・アイデア出しにおすすめ
ChatGPT公式サイト
まず紹介したいのが、ChatGPTです。
「介護職向けAI」と聞くと、介護専用に作られたAIを想像するかもしれません。しかし、最初に試すならChatGPTのような幅広く使えるAIも候補になります。
ChatGPTは、質問への回答、文章の下書き、文章の書き換えや要約、アイデア出しなど、さまざまな作業に利用できます。
たとえば介護職なら、
「新人職員向けに認知症についてわかりやすく説明してください」
「高齢者施設でできるレクリエーションを10個考えてください」
「介護職向けの研修資料の構成を作ってください」
といった使い方ができます。
特におすすめなのが、「ゼロから文章を作るのが大変」という場面です。
たとえば研修のお知らせを書く場合、自分で最初から文章を考えると時間がかかりますよね。
そこで伝えたい内容を箇条書きにして、文章の下書きを作ってもらう方法があります。
また、介護について勉強するときの質問相手として使うこともできます。
ただし、ここで絶対に忘れてはいけないのが個人情報です。
介護現場では、利用者さんの名前、病気、生活状況など、重要な情報を扱います。個人情報保護委員会は、生成AIに個人情報を入力する際、サービス提供者によるデータの取り扱いなどを確認するよう注意喚起しています。
したがって、利用者さんの情報を入力する場合は、まず勤務先のルールを確認しましょう。
おすすめ度:★★★★★
「まずAIを使ってみたい」という介護職なら、最初の一歩として検討しやすいでしょう。
2.Gemini「ケア記録アシスト」|介護記録をAIで支援
Google「ケア記録アシスト」公式紹介
介護職の方に特に注目してほしいのが、Googleの「ケア記録アシスト」です。
2026年3月、GoogleはGeminiアプリの「Gem」機能に、日本の介護現場向けの「ケア記録アシスト」を公開しました。
この機能では、短い音声メモや文章、手書きメモの写真などを入力すると、介護記録の草案を作成できます。
つまり、
「記録を書く」→「AIに記録の下書きを作ってもらう」
という使い方ができるわけです。
ここは、かなり面白いポイントです。
介護職にとって記録は欠かせない仕事ですが、利用者さんと直接関わる時間を削ってまで記録作成に時間を使いたいわけではありません。
Googleの発表では、株式会社シーユーシーが行った実証実験において、「ケア記録アシスト」の活用によって介護記録の作成時間が約20%短縮されたと報告されています。
もちろん、これは特定の実証実験で得られた結果であり、すべての施設で同じ効果が出ると保証されているわけではありません。
また、AIが作った記録をそのまま正式な記録にするのではなく、介護職員が内容を確認してから利用する仕組みになっています。Googleは、AIが作成した草案をスタッフが確認・承認する設計だと説明しています。
これは介護現場では非常に重要です。
AIは便利ですが、利用者さんの状態を最終的に確認するのは人間だからです。
おすすめ度:★★★★★
「AIを使って介護記録を効率化したい」という方は、ぜひチェックしておきたいサービスです。
3.CareViewer|介護記録や音声入力を効率化したい人におすすめ
CareViewer公式サイト
「介護記録そのものを効率化したい」という事業所なら、CareViewerも候補になります。
CareViewerは介護・福祉の現場向けに提供されているサービスで、記録業務を支援する機能を備えています。
ここで注目したいのが、音声入力です。
介護の現場では、パソコンの前に座って文章を入力することが負担になる場合があります。
そこで、音声を使って入力できれば、
話す → 記録する
という流れを作りやすくなります。
CareViewerの公式サイトでは、音声入力のほか、介護計画と記録の連携、健康予測AI、AI個別介護計画書などの機能が紹介されています。
介護記録だけでなく、介護計画などにもAIを活用したい事業所にとっては、検討する価値のあるサービスでしょう。
また、公式サイトでは無料体験も案内されています。
ただし、AIや介護記録システムを導入するときは、「AIが付いているから便利」という理由だけで決めないことが大切です。
現在使っているシステムと連携できるのか。
職員が実際に使いやすいのか。
料金はいくらなのか。
サポートはどうなっているのか。
こうした部分まで確認しましょう。
介護テクノロジーは、導入しただけで仕事がラクになるわけではありません。
現場の職員が無理なく使い続けられるかが、とても重要です。
おすすめ度:★★★★☆
介護記録を中心に、施設全体の業務を効率化したい事業所に向いています。
4.ワイズマン「AIケアプラン」|ケアマネジャーの書類作成を支援
ワイズマン「AIケアプラン」公式サイト
4つ目は、ワイズマンの「AIケアプラン」です。
こちらは特にケアマネジャーの方に注目してほしいサービスになります。
ケアプランは、利用者さんの生活や希望、心身の状態などを考えながら作成する大切なものです。
だからこそ、AIにすべて任せるという考え方ではありません。
AIには文章作成などを支援してもらい、最終的な確認や判断は人が行う。
この考え方が重要になります。
ワイズマンの公式サイトでは、「AIケアプラン」に加えて、「リハビリ計画書作成支援AI」「音声記録AI」など、介護・福祉向けのAI関連製品が紹介されています。
つまり、介護現場のAI活用は、単純な「チャット」だけではありません。
ケアプラン、計画書、記録といった専門的な仕事にAIを組み込む動きも進んでいるわけです。
ワイズマンでは、製品説明やデモ、見積もり、契約、導入後の保守サポートという流れも案内されています。
そのため、個人で気軽に使うAIというより、事業所や法人で導入を検討するサービスとして考えたほうがよいでしょう。
ケアマネジャーが書類作成に追われる時間を減らし、その分、利用者さんや家族と向き合う時間を増やす。
そんな使い方が期待されます。
おすすめ度:★★★★☆
ケアマネジャーや、介護事業所としてAI導入を考えている方におすすめです。
5.Kaigos|訪問介護の記録をAIで支援
5つ目は、Kaigosです。
訪問介護に関わっている方なら、特に注目したいサービスでしょう。
Kaigosは訪問介護向けのAI記録支援アプリとして開発され、2026年7月に顧客検証を開始したことが発表されています。
特徴は、音声や文章で入力したケアの内容を、AIが介護記録の項目ごとに整理する仕組みです。
訪問介護では、利用者さんのもとへ行ってケアを行ったあと、その内容を記録として残します。
そこで、
ケアをする → 内容を入力する → AIが整理する → 人が確認する
という流れを作ろうとしているわけです。
特に面白いのが、AIが作った記録を職員が確認・修正してから保存する点です。
これは介護AIを考えるうえで、とても大切な考え方です。
AIに「判断」を任せるのではなく、AIに「整理」を手伝ってもらう。
そして最後は人間が確認する。
介護現場では、この役割分担が重要になります。
ただし、Kaigosについては2026年7月時点で顧客検証開始という段階の情報が確認できています。したがって、現在の提供状況や料金については、導入を検討する時点で最新情報を確認してください。
おすすめ度:★★★★☆
訪問介護の記録業務を効率化したい方は、今後の動きも含めてチェックしておきたいサービスです。
介護職向けAIツールはどう選べばいい?
ここまで5つ紹介しましたが、「結局、自分はどれを使えばいいの?」という方もいるでしょう。
そこで、簡単に選び方を整理します。
個人でAIを試したいなら「ChatGPT」
まずAIを体験してみたいなら、ChatGPTが候補になります。
文章作成や勉強、アイデア出しなど、用途が広いからです。
介護記録を効率化したいなら「ケア記録アシスト」
記録業務に特化して考えるなら、Googleの「ケア記録アシスト」が非常にわかりやすい選択肢です。
2026年に日本の介護現場向けに公開された機能なので、今後の動きにも注目したいところです。
事業所全体で記録を変えたいなら「CareViewer」
個人ではなく、施設・事業所として介護記録の仕組みそのものを見直したい場合は、CareViewerのような介護向けサービスを検討するとよいでしょう。
ケアマネなら「AIケアプラン」
ケアプラン作成の効率化を考えるなら、ワイズマンのAIケアプランが候補になります。
訪問介護なら「Kaigos」
訪問介護の記録を効率化したい場合は、Kaigosのような訪問介護向けAIにも注目です。
つまり、
「AIなら何でもいい」ではなく、「何の仕事をラクにしたいのか」で選ぶ
ことが一番大切です。
介護職がAIツールを使うときの注意点3つ
AIは便利ですが、介護職が使う場合には特に注意してほしいことがあります。
①利用者さんの個人情報を安易に入力しない
これが最も重要です。
介護現場では、氏名だけでなく、病気、服薬、生活状況、家族関係など、多くの情報を扱います。
個人情報保護委員会は、生成AIに個人情報を入力する場合、その情報がAIサービス側でどのように扱われるのか確認するよう注意しています。
「名前を消せば絶対に大丈夫」とも限りません。
勤務先がAI利用を認めているか、どのような情報を入力してよいのかを、必ず確認してください。
②AIの回答をそのまま信じない
AIは便利ですが、間違った内容を出すことがあります。
個人情報保護委員会も、生成AIの回答には不正確な内容が含まれる場合があると注意しています。
特に介護・医療に関係する内容では、
AIに聞く → 回答を見る → 信頼できる資料で確認する
という流れを意識しましょう。
③「AIに任せる仕事」と「人がやる仕事」を分ける
AIを使う目的は、介護職をなくすことではありません。
厚生労働省も、介護テクノロジーの活用について、ケアの質の確保や職員の負担軽減という観点から効果を検証しています。
つまり大切なのは、AIを導入することそのものではなく、AIによって生まれた時間をどう使うかです。
記録をAIに手伝ってもらって、その分、利用者さんと話す時間を増やす。
書類作成を効率化して、その分、職員同士で相談する時間を作る。
そんな使い方ができれば、AIは介護職にとって心強い存在になるでしょう。
介護職向けAIツールに関するQ&A
Q1.介護職がChatGPTを仕事で使っても大丈夫ですか?
勤務先のルールを確認してから利用してください。
特に利用者さんの個人情報を入力する場合は注意が必要です。
個人情報保護委員会は、生成AIサービスに個人情報を含む内容を入力する場合、そのデータがどのように扱われるのか確認するよう注意しています。
最初は個人情報を使わず、
- 研修資料の下書き
- 勉強の質問
- レクリエーションの案出し
- 一般的な文章の整理
などから試してみるとよいでしょう。
Q2.介護記録におすすめのAIツールはどれですか?
介護記録なら、Geminiの「ケア記録アシスト」やCareViewer、Kaigosなどが候補になります。
ただし、それぞれ対象となる事業所や機能、導入方法が異なります。
特に施設で導入する場合は、今使っている介護ソフトとの関係や、職員が使いやすいかどうかまで確認しましょう。
「一番有名なAI」を選ぶのではなく、自分たちの現場に合うAIを選ぶことが大切です。
Q3.介護職向けAIツールを個人で使えますか?
サービスによって違います。
ChatGPTのように個人でも利用できるものがある一方、介護記録やケアプラン向けのサービスには、事業所単位で導入するものもあります。
また、個人で利用できるAIであっても、仕事で使ってよいとは限りません。
「自分で契約できるか」ではなく、「勤務先が業務利用を認めているか」まで確認することが重要です。
まとめ
介護×AIは「記録」から始めるのがおすすめ
今回は、介護職向けAIツールおすすめ5選を紹介しました。
改めて整理すると、
- ChatGPT → 文章・勉強・アイデア出し
- Gemini「ケア記録アシスト」 → 介護記録
- CareViewer → 介護記録・音声入力など
- ワイズマン「AIケアプラン」 → ケアプラン
- Kaigos → 訪問介護の記録
という使い分けができます。
そして、今回の記事で一番伝えたいのは、
「AIを使うこと」ではなく「AIで何をラクにするのか」を考えること
です。
介護職は、利用者さんと直接向き合う仕事です。
だからこそ、記録や書類作成などの時間を少しでも効率化して、人にしかできない仕事に時間を使えるようにすることには大きな意味があります。
厚生労働省も2026年度に介護テクノロジーによる生産性向上の取り組みを実証し、効果を検証しています。
また、Googleが介護記録を支援するAIを公開したことからも、介護とAIの距離は確実に近づいています。
もちろん、個人情報やAIの間違いには十分注意しなければなりません。
AIに任せるところは任せる。
人が確認するところは、人が確認する。
このバランスが大切です。
いきなり施設全体を変える必要はありません。
まずは、毎日の仕事で「ここ、もう少しラクにならないかな?」と思う作業を一つ見つけてみてください。
そこから始めるだけでも、介護職とAIの新しい付き合い方が見えてくるはずです。
AIを味方につけて、利用者さんと向き合う時間を少しでも増やしていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「介護テクノロジーの利用促進」
- 厚生労働省「令和8年度介護テクノロジー等による生産性向上の取組に関する調査及び効果測定」
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起」
- Google「ケア記録アシスト」
- ワイズマン「AIケアプラン」
- ChatGPTの機能概要(OpenAI)


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